松本人志の「ドキュメンタル」が提供してくれた新しい「お笑いの形」とは?

 松本人志の「ドキュメンタル」の最初のシーズンが終わりましたね。この番組はテレビでは到底放送できそうもない類の番組であり、松本人志が人生をかけて追求した「お笑い」と言うものの、一つの形として製作されたそうです。
 
 ではこの番組は実際どうだったのでしょうか。
 

「ドキュメンタル」が提供したお笑い

 まず「ドキュメンタル」の面白さとはどういうものなのだったのでしょうか。「ドキュメンタル」はどういった企画だったのでしょうか。
 
 それは
「芸で笑わそうとしている人をみて、笑わない様に努力してる人」という「お笑いの場」を見て楽しむ企画
であると思います。
 
松本人志はお笑いというものを追求して、結論として「部屋の中のお笑い」が一番答えとして真なんじゃないか?と言って、「ドキュメンタル」を考案したそうです。しかし視聴者側からしてみれば、その場を視聴するという一歩上の次元に立つことになり、
 
松本人志が期待している一番の面白さ(部屋の中の面白さ)」という「場」を見て笑うということになります。
 
 またその「お笑いの場」は「お互いが笑ってはいけない」という制約を課されることで余計に強化されます。笑ってはいけないという制約があると、自分がどういう時に「笑う」のかが浮き彫りになります。「お笑い」というものを表すのは難しいですが、「笑ってはいけない」というものを出すことによって、逆に「お笑い」を顕在化することに成功しているのです。
 
 つまり「ドキュメンタル」は、
お笑いというものを顕在化する「笑ってはいけない」という制約をつけた「部屋の中のお笑い」、という「場」を提供する
企画であるということです。(わかりにくいですね)
 

今シーズンのMVPはフジモン

f:id:hirohuntexp:20161223211604j:plain

 
 このように捉えた時、今回のシーズンでのMVPはフジモンだったのではないかと思います。フジモンのニヤケ顔が、あの「場」の雰囲気を一番視聴者に伝えたのではないかと思います。フジモンがニヤけることによって、目には見えない「お笑い」というものが、それを我慢することによって、物凄く表面化していました。
 
 「笑わないように努力している人」の「笑いそうな顔」の破壊力は凄いです。あそこの「お笑いの場」がよく伝わってきます。「ドキュメンタル」はお笑いというのを、その「お笑いの場」を感じることによって味わえる、という構成になっていて、お笑いの次元を一歩上に上げたのではないかと思います。
 
 フジモンはその役割を完璧に演じることができていました。
 
 

残念だったところ

 ということで番組は物凄く楽しんでみることができました。
 一方で少し残念だった点もいくつかあります。
 
 一つ目は「笑ってはいけないルール」が曖昧だったことです。どこまでの笑いは良いのかなど、少しぶれてしまっていたかなと思いました。
 
 二つ目は、ゲームの構造上の問題です。笑いに態勢ある人が最後に残っていくわけですが、少人数になるにつれて「お笑いの場」の効果は減衰してしまいます。それに加えて彼らは笑いに強いわけですから、その「お笑いの場」はドンドン弱くなってしまいました。結果として3人が残ってしまったわけですが、よくよく考えれば想定できた結果でした。
 
 シーズン2はどうなるのか、今から期待で胸が一杯です。